SNSアカウントをいくつか運営していて、投稿に使う画像がとにかく足りません。
キャラクター、飾りのパーツ、背景。毎日いるのに、毎回クラウドの画像生成サービスを叩くと枚数の制限にすぐ当たります。
それなら自分のPCで動かせばいいのではと思って手を出したのが今回の話です。
結論から書くと、GPUで詰みました。そしてデスクトップに移して動くようになったあと、もっと厄介な壁が来ました。順番に書きます。
まず、詰んだPCのスペック
作業に使っているノートPCの実測値です。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 機種 | HP ProBook 450 G6 |
| GPU | Intel UHD Graphics 620 |
| 専用VRAM | なし(メインメモリと共有・約1GB表示) |
| メモリ | 7.9GB |
ここが全部です。専用のグラフィックボードが載っていません。
普段はブラウザとエディタとターミナルしか開かないので、これで何の不自由もありませんでした。画像生成をやろうとして初めて、足りないものがはっきりしました。
必要なVRAMの数字
画像生成をローカルで動かすとき、効いてくるのはメモリの合計ではなくGPUの専用メモリ(VRAM)です。ここが足りないと、そもそもモデルが読み込めません。
2026年時点で言われている目安はこのあたりです。
| モデル | 最低 | 実用 |
|---|---|---|
| Stable Diffusion 1.5 | 4GB | 8GB |
| SDXL | 8GB | 12GB |
SDXLは8GBでも「メモリ節約の設定を足せば動く」レベルで、普通に1024×1024を出すなら12GBが実質の下限という書かれ方をしています。
僕のノートは専用VRAMがゼロです。4GBどころの話ではありませんでした。
ここで学んだこと:画像生成をローカルでやるかどうかは、PCの値段でもCPUでもなく、グラフィックボードが載っているかどうかの1点で決まります。ノートPCで「メモリ16GBあるから大丈夫だろう」は通用しません。見るのはVRAMです。
デスクトップに移した
ノートで粘るのはあきらめて、もう1台あるデスクトップ機のほうに画像生成の作業を移しました。
ここで一度、話は解決したように見えました。枚数が出せるようになったからです。
ところが、そのあとに来た壁のほうがずっと厄介でした。
本当の壁:AIだけの判断だと絵が「違和感だらけ」になる
枚数が出せるようになっても、そのまま使える絵はほとんど出てきませんでした。
技術的には成功しているのに、人が見ると「なんか変」。この「なんか変」を潰す作業が、生成そのものより時間を食いました。実際にぶつかったものを4つ書きます。
1. 「背景を透明にして」と頼むと壊れる
キャラクターを別の画像に重ねたかったので、最初は素直に「背景を透過にして」と指示していました。
結果、輪郭がギザギザになったり、半透明の変な縁が残ったりして使い物になりませんでした。
いま運用しているルールはこうです。
透過は指示しない。白い背景で作らせて、あとから白を抜く。
生成AIに「透明」を理解させるより、単色で出させて機械的に抜くほうが圧倒的にきれいでした。
2. 頼んでいない文字が絵に焼き込まれる
バナー用の背景画像を作ろうとしたときです。用途を説明してから頼むと、AIが気を利かせてバナーのタイトル文字まで絵の中に描いてしまいました。
画像に焼き込まれた文字は、あとから消せません。フォントも文言もこちらで決めたいのに、絵と一体になってしまいます。
対処は2つでした。
- 用途を説明しない。「バナー用の背景」ではなく、絵柄そのものだけを頼む
- それでも文字が入ったら、同じAIに「この文字を消して」と頼む(人が消すより早い)
3. ロゴやマークは、そもそもAIに描かせてはいけない
これは品質ではなくルールの話です。
企業やサービスのマークを画像生成AIに描かせると、それっぽいけれど本物ではないものが出てきます。 商標なので、似せて描くのも作り直すのもやってはいけません。
なので今の運用では、マーク類は1つもAIに描かせず、公式が配っているものを取ってきて使っています。 そうやって集めた公式マークは、いま手元に74点あります(画像素材は全部で147点です)。
ここが一番の落とし穴でした。「絵はAIで作れる」と思っていると、AIで作ってはいけない絵があることに気づきません。
ちなみに今日も1社だけ、公式が16ピクセルの小さいアイコンしか配っていない会社がありました。AIで似せて描くのは禁止なので、その枠だけ別の記号で代用して、あとで公式素材をもらう形にしています。
4. AIが組んだレイアウトは、人が見ないと事故る
これは今日あった話です。
投稿用の画像を5枚、AI(このブログを一緒に書いているAIです)に組ませました。文字の位置も飾りの配置も全部AI任せです。
書き出したものを見返して、2枚を差し戻しました。 右上のフォローボタンが、タイトルの文字に重なっていたからです。
数値の上では何も壊れていません。要素は全部そこにあるし、はみ出してもいない。ただ人が見ると読みにくい。この判断だけは、いまだにAIに任せきれていません。
今どう回しているか
しばらく試して、今はこの形に落ち着いています。
| 工程 | 誰がやるか |
|---|---|
| 絵を作る(枚数を出す) | AI・機械 |
| どれを使うか選ぶ | 人 |
| 変なところを直す | 人が指摘 → AIが直す |
| マーク・ロゴを用意する | 人(公式から取得) |
| 最後に目で見る | 必ず人 |
つまり、生成は自動化できても、選別と最終確認は自動化できていません。
もう一つ分かったのは、AIに一発で完成品を出させようとしないほうが早いということです。白背景で出させてから抜く、文字なしで出させてから乗せる。工程を分けたほうが、結果的に手戻りが減りました。
これから同じことをやる人へ
僕と同じ順番で詰まないように、判断のポイントだけまとめます。
ローカルで動かすかどうか
- 見るのはVRAM。メインメモリではありません
- 専用のグラフィックボードが載っていないPCは、検討する前に対象外です
- SDXLを普通に使いたいなら12GBが実質の下限
クラウドで済ませるかどうか
- 月に数十枚なら、無理にローカルを組むよりクラウドのほうが安くて速いと思います
- ローカルを考え始めるのは「枚数の上限に毎日ぶつかっている」状態になってからで十分でした
どちらを選んでも変わらないこと
- 透過は指示しない。白背景で作らせて抜く
- 用途を説明すると、余計な文字が焼き込まれる
- ロゴ・マークはAIに描かせない
- 最後に人が目で見る工程は、外せない
画像生成でいちばん時間がかかるのは、生成そのものではありませんでした。出てきたものを見て、直すかどうか決めるところです。ここを人が持つ前提で組むと、だいぶ楽になります。
